フィラデルフィアの思い出

1998年からの2年間、MBA留学でフィラデルフィアに住んでいました。私の人生の中で最も長い時間、机に向かっていた時期だと思います。MBA留学時代は楽しかったという人に時々出会いますが、心底すごいなあと感心します。私の場合は、ただただ勉強がしんどかったという思い出しかないのが感想です。日本の大学では文学部卒業だったので、経済学の科目をほとんど履修しなかった私が、MBAを卒業出来たのは、同期の日本人留学生の仲間が助けてくれたお陰だと今でも感謝しています。本当に這うようにかろうじて卒業をしたという感じです。

そんな大変な思いの多かったフィラデルフィアの2年間の中で、良い思い出として残っているものの1つが、ジェームス・リジィの絵との出会いです。当時住んでいたローカスト1500にあったアパートから、東の端にあるダウンタウンに向かって歩いていくと(正確な住所は失念してしまいました)初老のご夫婦が営んでいた画廊があって、そこにたくさんのリジィの絵が飾ってありました。ご夫婦によると、リジィのことを彼が有名になる前から応援しているとのことで、有名になった後も全く態度が変わらないとても人柄が良い作家と褒めていたのが印象に残っています。

全く絵心なんてない私なのですが、人柄が素晴らしいと言われると、確かにリジィの絵には人に対する優しさが出ているような感じがするのは不思議なものです。卒業前にフィラデルフィアの思い出にと買ったリジィの絵を今も大切に持っていて、元気を貰っています。

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